福岡県では、使用済み蛍光管から蛍光体を回収し、レアアースまで分離精製してリサイクルする仕組みづくり、技術開発に取り組んでいます。

使用済み蛍光管からのレアアースリサイクルプロジェクト

レアアースは、蛍光管やLED等の製造に不可欠な材料であり、近年需要が増大しています。
レアアースが多く使用されている蛍光管は、約3割しかリサイクルされていません。そこで県では、使用済み蛍光管から蛍光体を回収し、レアアースまで分離精製してリサイクルする仕組みづくり、技術開発に取り組んでいます。

レアアースとは

イットリウム、セリウム、ランタンなど17種類ある元素の総称。電気電子製品、自動車などあらゆるハイテク産業分野に欠かせない重要な元素ですが、輸入に依存しており、価格の高騰と供給の不安定化が懸念されています。

蛍光管に使用されているレアアース

蛍光管に使用されているレアアース
蛍光管が光る仕組みを図示しています。蛍光管の両端から電圧をかけると、電極から熱電子が飛び出し水銀に当たり紫外線を発する。それが蛍光体に当たると可視光を発する。蛍光体はレアアースを使用しており、イットリウム、ユーロピウムは赤色蛍、ランタン、セリウムテルビウムは緑色、ユーロピウムは青色となる。
*蛍光管1本には2~5gの蛍光体(約70%がレアアースで構成)がガラス管の内側に塗布されている。

蛍光管に使用されているレアアースの価格の推移

レアアースの価格の推移(イットリウム・セリウム・ランタン)
レアアースの価格の推移(イットリウム・セリウム・ランタン)を図表にしたものです。
レアアースの価格の推移(ユーロビウム・テルビウム)
レアアースの価格の推移(ユーロビウム・テルビウム)を図表にしたものです。

使用済み蛍光管からのレアアースリサイクルの流れ

使用済み蛍光管から下記の様々な工程を経て蛍光体を取り出し、さらに各レアアースに分離精製し、いろいろな用途に使えるようします。

使用済み蛍光管からのレアアースリサイクルの流れ
使用済み蛍光管からのレアアースリサイクルの流れをしました図です。蛍光管の回収、蛍光体の回収、水銀の除去、蛍光体からレアアースの分離という手順を経て、蛍光管の他各種用途にレアアースとして再利用することにより、価格が高騰するレアアースの新たな供給源として期待されています。

全国初!事業化を目指した産学官共同プロジェクトスタート h23.9~

  • 福岡県、福岡県リサイクル総合研究センター、三井金属鉱業(株)、日本イットリウム(株)、(株)ジェイ・リライツ、九州大学平島剛教授は、使用済み蛍光管からのレアアースの回収・再資源化に一定の目処が立ったことから、共同プロジェクトを立ち上げました。
  • 共同プロジェクトでは、福岡県リサイクル総合研究センターが全体調整、進捗管理などのコーディネートを行い、品質や価格設定の条件等を検討し、平成23年度中の事業化を達成。
  • 本事業の市場規模は、九州で1年間に排出される使用済み蛍光管のすべてが回収されれば、レアアースの回収量は約57tと推定。
事業化を目指した産学官共同プロジェクト
福岡県、リ総研等の共同プロジェクトの関係を図示したものです。(株)ジェイ・リライツは使用済みの蛍光管を回収し、蛍光体の回収を行う、三井金属鉱業(株)と日本イットリウム(株)はレアアースの溶解・抽出・生成を行う。九州大学平島剛教授は蛍光体の高品位化の研究を行う。