リ総研だより

リ総研だよりvol.5

食品ロス削減とフードバンク活動の持続的発展を推進すべき時

今回のコラムを担当しますプロジェクト推進班コーディネーターの深堀良治です。

リ総研の使命は3Rに関する産学官民による共同研究を円滑に推進するとともに、その研究成果の事業化を推進するためのコーディネート業務ですが、私は平成28年度からスタートした「福岡県食品ロス削減推進事業」の一環としてのフードバンク活動の普及・促進を担当しております。

本来食べられるけれども廃棄される食品(食品ロス)をフードバンク活動を行う団体を通して、食品を必要とされる方々へ提供するフードバンク団体の支援を行うことで食品ロス削減の一翼を担っていると自負しております。

平成28年度より平成30年度の3年間、①食品寄贈企業の開拓②フードバンク団体の活動支援に重点を置いて活動してまいりました。そして、平成31年4月1日、民間による持続的活動の基盤づくりのために、一般社団法人福岡県フードバンク協議会が設立され、当協議会事務局へ出向中であります。

平成28年度から食品ロスの寄贈企業を開拓するため、多くの企業・団体を訪問してまいりましたが、「未だ道遠し」の感を禁じざるを得ません。

当該食品ロスの寄贈をお願いする訳ですが、大半の企業の回答は「転売の恐れ」「衛生管理が不十分で健康被害のクレーム」「飼料化等で対応済み」「食品ロス問題の認知不足」などで食品ロスの寄贈に至るケースは現在のところ微々たるものと言わざるを得ません。

然しながら、この約4年間を通して寄贈企業は70社を超え、現場で製造に従事する方々の「せっかく、一生懸命に作ったのに、廃棄せざるを得ないのは悲しい」から「子どもたちが笑顔で頬張ってくれてうれしい」という声をいただく機会も増えてまいりました。

食品製造企業ではいわゆる三分の一ルールや印字ミス・包装ミスにより市場へ出せない食品がロスとなり廃棄や飼料化などで処理されるケースが散見されます。又、コンビニ業界や量販店業界からの厳格な要請による過剰生産ロスも恒常化しているようです。

これは、消費者の購買意識(日付、価格に対する反応など)が変化しなければ、容易に解決する問題ではありませんが、今こそ、産官学民一体となって、食品ロス削減とフードバンク活動の持続的発展を推進すべき時であると痛感します。

フードバンク活動は非営利で、中心はボランティアの皆さんであり、運営は資金的に非常に厳しいものがあります。この活動を持続的に発展させるためには、食品の寄贈は言うまでもなく、寄付や会費での資金面の支援、空きスペース(倉庫・事務所など)の提供や配送面での支援など様々な支援が考えられます。

現在、企業のSDGsの取り組みが脚光を浴びておりますが、フードバンク活動への支援も企業のSDGsへの取り組みと重なるものであります。是非、みなさまに出来るものから、出来ることから、企業内でのご検討をよろしく お願いいたします。

食ロス
SDGsゴール・ターゲット関連図

 私事ですが、私は戦後の団塊世代の生まれで、子ども時代は世の中全体が貧しく、衣食住ついては、「もったいない」を親から常に躾られましたが、子育て時代を高度経済成長時代に過ごし、子ども世代にこの「もったいない」を伝えてこなかった責任の一端を感じております。

今、時代は、環境問題、経済格差問題、8050問題、少子高齢化問題、地方の疲弊、働き方改革、自国第一主義など山積しておりますが、私たちはもう一度、「もったいない」「捨てるから活かす」に立ち戻り、暮らしていくことが大切なことではないかと自問自答しつつ筆を置きます。