リ総研だより

リ総研だより vol.12

レジ袋有料化に思う

 7月1日からレジ袋(プラスチック製買い物袋)の有料化がスタートしました。
なお、有料化の対象となるレジ袋には「持ち手がある」という条件があります。従って、スーパーのレジを出たところに袋詰めする台(サッカー台というそうです)にあるロール状の袋は無料のままです。
 レジ袋は、無料でもらうものという認識でしたから、簡単にごみとして捨てることも抵抗はありませんでした。よく道路の分離帯に車から放り投げたと思われるごみ袋を見かけますが、これは論外ですね。スーパーなどで物を買った後の袋は、家庭の中でいろんなところで活躍しています。
 例えば、
・ゴミ箱の中に入れる内袋(簡単にゴミに出せるので大変便利)
・犬の散歩の際の糞の始末用(そのまま捨てられるので便利)
・車に置いていた折り畳み傘が濡れた時の入れ物用
・生ごみの入れ物(我が家でも悪臭防止のため大変重宝しています)
 そのほか皆さんのご家庭でもいろんな使い方をされていると思います。
 今回有料化になったことで、便利なプラ袋を使わなくなるでしょうか?疑問です。 

散歩(男子)
白紙

 経済産業省のホームページでは、レジ袋有料化の目的について「・・省略・・・普段何げなくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。」としています。
 お分かりの様に、今回の有料化で、上記のような生活に馴染んだ便利な使い方をやめることができるとは到底思えません。有料化だけでプラごみ削減に大きく貢献できるということではないようです。
 日頃ただでもらって、気軽にごみとして捨てるという、当然と思ってやっている私たちの行動を、この機会に見直して、本当に必要なプラスチック袋であれば、料金を払って手に入れることでライフスタイルを見直してほしいということでしょう。
 これは、「プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン」として 経済産業省と環境省の名前で出されています。環境に配慮するということのほかに、スーパーやコンビニなどの負担を軽減し、プラスチック袋という新たな市場を創出するという目的もあるようですね。
 今年初めから流行している新型コロナの医療関係者の感染予防策として使用されている防護服やフェイスガードなどでは、殆どが使い捨てですし、プラスチック素材は、各所で活躍しています。カメの鼻に詰まったストローの映像をよく目にして、プラスチックは、悪いものというイメージができてしまってますが、プラスチックは、私たちの生活を大変便利にしてくれるものに変わりありません。
 多くの企業や研究機関では、プラスチックのリサイクルやバイオプラスチックの開発、海洋生分解性プラの開発に取り組まれています。
 先日、ある全国チェーンの環境に配慮している店で、食卓用のバターナイフを1本購入しました。ショッピングセンターだったのでそのままで持ち歩くことはできないでしょうが、立派な紙製の手提げ袋に入れてもらえました。数百円のものだったのですが、購入したものよりも高くかかっているんじゃないかと思うくらいおしゃれな袋で過剰包装ともいえるようなものでした。
 レジ袋有料化でそうなったのか元々からのサービスだったのかは不明ですが、お客様に負担させてはいけないと、お店の方でも余計な出費が増えているのも確かです。
 世界では産業革命以後、日本では明治維新後、便利さを追求するあまり、浪費(廃棄)に対する抵抗なく、産業・経済の発展をみてきました。レジ袋有料化をきっかけに、有料化という現象だけをとらえずに、なぜそうなったのかを考えて、循環経済(Circular Economy)の重要性を認識するときなのかもしれません。

コーディネーター 田中康彦

家族全員マイバック
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