リ総研だより

リ総研だより vol.13

「共感」ある出会いを願って

毎年、なにか学びがある。
今年の学びは、「同感」と「共感」の違いでした。
同感:思考を共有する。自分と同じ価値観、意見を持った相手に対して、同意をすること。
共感:感情を共有する。他人の考え、主張、感情を自分もそのとおりだと感じること。同じ感情を持って相手の気持ちが理解できること。
漢字ってシンプルに意味を表していて、言葉を作った人、すごいなと思う。ある講座で漢字の言葉で日頃なにげに行われている心の感じ方や行動を改めて考え、自分のことを理解できるいい機会になりました。人って理解しているだけでは、なかなか行動に移さない。行動に移す一つのきっかけは、共感したときではないかと思っています。

いつも思い出すのは、洗濯機の開発の話です。
18世紀から19世紀にかけて、イギリスやアメリカで次々と洗濯機が発明されましたが、日本に電気洗濯機が輸入されたのは1922年(大正11年)で、8年後の1930年(昭和5年)に「芝浦製作所」、現在の「東芝」が国産第1号となる電気洗濯機を製造・販売しました。そんな電気洗濯機が一般的になったのは、戦後になってからで、1953年(昭和28年)に「三洋電機」が、それまでの洗濯機のほぼ半分のお値段、2万8,500円の洗濯機を発売しました。
「三洋電機」の創業者・井植歳男さんが当時、主婦の方の洗濯事情を見て、こうおっしゃったそうです。「日本の奥さん方の場合、例えば5人家族の家庭では3年間でおよそ2トンもの洗濯物がある。これはゾウ1頭の重さに匹敵する。これだけの量の洗濯物を、洗濯板を使ってゴシゴシと洗うのはとても大変なことだ。日本の奥さん方をこの重労働から解放しよう!」こうして井植さんは洗濯機の開発に乗り出しました。
それまでの洗濯機は丸型が主流でしたが、「三洋電機」の洗濯機は角型・スリムで場所を取りませんでした。しかも汚れ落ちが良くて、使う電力も節約出来たので、洗濯機が一般家庭にも広まっていきました。もちろん事業として、採算が合うかなども開発の要素だったとは思いますが、たぶん、日頃の妻の様子を見て、妻を重労働から解放したかった、夫として妻を思う気持ちが、きっかけなのではないかと思いました。
私が子どもの頃は、たらいと洗濯板がお風呂場にあり、母がゴシゴシと手で洗っていたのを目にしていました。今では、当たり前のように洗濯機があって、スイッチを入れると脱水まで何もせず、ボタン一つで終わる。それにかけていた時間を他に使うことができる。井植さんが、大変さを共感し、どうにかしたい気持ちが、形になり、今の私達までつながっていると思えて感謝と敬愛の気持ちになります。

私自身は総務企画課で仕事をしているので、直接、リサイクル研究の事業化を支援しているわけではありませんが、事務所には、この「どうにかしたい気持ち」に応えようとしている方たちがいます。研究の目的に合う人や企業を引き合わせる仕事は、今まで培った経験と人とのつながり、そして今の状況を把握するための行動、目標までの粘り強さであるようにその方たちを見ていて感じます。今年、事務所では異業種間交流ができる「ふくおか3Rメンバーズ」を設立し多くの方が出会う機会を催すことになりました。新型コロナウイルス感染症防止の為、今は思うように交流できないかもしれないけれど、3Rの事業化のために集まって来られた方と互いに共感しあえるような機会になり、そこで未来の環境負荷を減らせるような研究事業が生まれ、地球に住む生き物や多くの人の生活が、滞りなく過ごせたらと願っています。
                                                    総務企画課 戸畑 典子

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