センター長より

【第4回】中村 崇のサーキュラーエコノミー塾

サーキュラーエコノミー塾

リサイクルと省エネルギー

中村 崇

 今更リサイクルの効能を述べるのは気が引けますが、最近カーボンニュートラルの話題とからめ議論されることが多いので、まとめてみたいと思います。
例えば、最終製品をすべてリサイクル素材で製造すると宣言している大手の情報通信製造メーカーは、それで多くの資源の新規生産の削減が可能となり、しいては省エネルギーでカーボンニュートラルに貢献できるとしています。大きな捉え方としてはその通りで間違いないといえます。ただ、リサイクルと言っても素材によって大きく変わることを理解しないといけません。紙、プラスチック、金属それも鉄、アルミニウム、銅ではかなり異なります。

下記に各素材のリサイクルの特徴をまとめて示します。

 

表1
表1 各種素材のリサイクルの状況

 

 この表を眺めるとリサイクルと省エネルギー効果(二酸化炭素発生抑制)の傾向が理解できます。有機系素材の紙やプラスチックは直接的なリサイクルによる省エネ効果はあまり大きくありません。

それではなぜリサイクルがのぞまれているのでしょう。

本質的には廃棄物処理の観点です。
ごみとして嵩張るのとプラスチックの場合は海洋生物へのダメージが大きくアピールされたことにより一層リサイクルの必要性が叫ばれました。
プラスチックではあまり言われませんが、実用プラスチックには多くの添加物が使用されるためにマテリアルリサイクルの回数ならびに質が制限されることです。
ところがこのような素材はサーキュラーエコノミー的な循環には向いています。
リサイクルしにくいのですからできるだけリユースが望ましい。そのための新しい使い方などが種々検討されます。
ただ、忘れていけないのはリユースは永久にできない点です。

 さて金属はどうでしょう。金属は本質的に多大のエネルギーを利用して鉱石から取り出します。したがって、リサイクルで大きな省エネ効果が得られ易いのです。
難しいのはレアメタルで、通常電子部品の中にわずかに使用されていることが多いために、集めるのに苦労が多いのが問題です。
ポイントは他の素材との抱き合わせ回収ならびにリサイクルです。
本質的に高性能の電子部品に使われていますので、一部の部品リユースは行われますが、基本はリサイクルのみになります。

 どうやらすべての素材はリサイクルすることによって省エネ効果があると結論していいようです。
ただし、その在り方は大きく異なります。まして紙やプラスチックの低レベル回収品のエネルギーリサイクルをカーボンニュートラルの中でどう位置付けるのかが大きな課題と言えます。